オフシーズンレビュー、AFC北地区

 FA、ドラフトとも積極補強を行ったブラウンズ

 今オフAFC北地区で最も目だった動きを見せたのは、クリーブランド・ブラウンズだった。まず、FA戦線ではシンシナティ・ベンガルズGエリック・スタインバックを7年4,950万ドル(約60億円)で獲得。さらにボルチモア・レイヴンズが一旦解雇してからの再契約を目指していたRBジャマール・ルイスとも契約し、同地区ライバルの主力2人を加えた。さらにドラフトでは今ドラフト1の攻撃ラインマンと評されていたTジョー・トーマス、地元出身のQBブレイディ・クィンとここでも大物2人の指名に成功。クィン獲得の代償として来年のドラフト1巡指名権を放出したが、チームの看板選手になり得る潜在能力を秘めているクィンはそのリスクに見合った選手と言えるだろう。

 サラリーキャップ削減のため再契約を前提にルイスを解雇したら、よりにもよって同地区のブラウンズに持っていかれるという失態を演じたレイヴンズは、新エースRBとしてビルズからトレードでウィリス・マクゲイヒーを獲得した。控えRBミューザ・スミスとも再契約を結んでおり、ラン攻撃力の維持には成功している。だが、FAでの目立った補強はマクゲイヒーだけであり、ペイトリオッツへと去ったプロボウルLBアダリアス・トーマスの穴をどこまで埋めることができるか、守備陣の活躍で勝利を重ねてきたチームだけに気になる。

 生え抜きの守備リーダー、LBポーターを放出したスティーラーズ

 一昨年のスーパーボウル制覇から一転、昨季はプレーオフにすら出場できなかったスティーラーズは、今オフにビル・カウワーヘッドコーチが辞任。ミネソタ・ヴァイキングス守備コーディネイターだった34歳の若手マイク・トムリンを新指揮官に向かえ出直しを図る。元々、FAでの補強を積極的に行わない方針であるスティーラーズは、今オフもFAでの加入はRBキーヴァン・バーロウGショーン・メイハンくらいと大物の加入はなかった。だが、1999年のプロ入りからチーム一筋で守備陣のリーダー格だったLBジョーイ・ポーターサラリーキャップ削減のために放出した。また、今季が契約最終年なため契約延長を求めていたリーグ屈指のGアラン・ファニーカが、チームの提示額の低さに失望し、今季終了後の移籍を表明している。ポーターの離脱とファニーカの移籍宣言が、チームに悪影響を及ぼさないか心配だ。

 ベンガルズは、Gスタインバックに加え、DTサム・アダムズCBトリー・ジェイムズLBブライアン・シモンズSケヴィン・ケイスヴィハーンといった中堅以上の主力を大量に放出した。一方で即戦力の加入は、DTマイケル・マイヤーズのみだ。QBカーソン・パーマーRBルディ・ジョンソンWRチャド・ジョンソンT・J・ハウシュマンザデイといったリーグ屈指の破壊力を誇る攻撃陣は健在。それだけに、若手選手の抜擢でスピードアップを図ったディフェンス陣の出来が、プレーオフ復帰の鍵となる。