CBクレメンツ、攻撃ラインの大型契約に揺れたFA
6月に入り、各チームとも補強はひと段落ついた。よって、これからはチーム別にオフシーズンの補強について振り返っていきたいと思う。だが、まずはリーグ全体の総括的なトピックを取り上げていきたい。
今年のFA市場の中で最も大きな衝撃を与えたことの1つは、サンフランシスコ・49ersがCBネイト・クレメンツを守備選手としては史上最高規模となる8年8,000万ドル(約96億8,000万円)、2,200万ドル(約26億6,000万円)の保証で獲得したことだ。たしかにクレメンツは、リーグでも上位の実力を誇るCBと評されている。しかし、プロ6年間でプロボウルに選出されたのは1回のみ。クレメンツと同じCBで、守備選手ではリーグ最高給クラスの1人であるデンバー・ブロンコスのチャンプ・ベイリーの実績(プロ8年間で6回プロボウル)に比べると大きく見劣りする。また、クレメンツをベイリーと同等の実力や、リーグ1、2を争うCBと評価する声はこれまであまり聞かれなかった。そんな中、果たしてクレメンツは金額に相応しいプレイを見せ、49ersの名門復活に貢献することができるのか。彼のプレーには少なくない注目が集まるだろう。
クレメンツの契約には負けるが、今オフの傾向の1つとして大型契約を勝ち取った攻撃ラインの選手が相次いで出た。Gエリック・スタインバックはクリーブランド・ブラウンズと7年総額4,950万ドル(約60億円)に1,700万ドル(約20億6,000万円)の保証、デリック・ドッカリーはバッファロー・ビルズと7年総額4,900万ドル(約59億3,000万円)に1,850万ドル(約22億4,000万円)の保証、レオナード・デイヴィスはダラス・カウボーイズと7年総額4,960万ドル(約60億円)に1,875万ドル(約22億6,000万円)の保証を結んで移籍。また、Gクリス・ディールマンは、サンディエゴ・チャージャーズと6年3,900万ドル(約47億2,000万円)と1,700万ドル(約20億6,000万円)の保証で再契約を結んでいる。
しかし、一方でプロボウル6回出場が示すように前述の選手よりも実績を残しているピッツバーグ・スティーラーズのGアラン・ファニーカは、今季が契約最終年であることから契約延長を要求していたが、チームからの提示は同ポジションのリーグトップ10以下。この対応に怒りをあらわにしたファニーカは、FAとなった今季終了後にスティーラーズを去ると公言している。