現COOロジャー・グッデル、NFL新コミッショナーに選出

 現地時間8月8日(火)、アメリカンフットボールの米国プロリーグNFL(National Football League:ナショナル・フットボール・リーグ)は、イリノイ州シカゴで開催されたNFLオーナー会議での投票を経て、既に今シーズン開幕前での勇退を発表しているポール・タグリアブー(66歳)の後任として、NFL現COO(=最高執行責任者)であるロジャー・グッデル(47歳)を新NFLコミッショナーに選出しました。

 2001年12月にタグリアブーにより上級副社長兼COOに任命されたグッデルは、1982年秋、大学卒業後、23歳でNFLニューヨーク本部PR部門のインターンとしてNFLでのキャリアをスタートして以来、過去24年間にわたり、リーグのあらゆる分野における発展に多大なる尽力をしてきました。1990年代におけるリーグのエクスパンション(=チーム数拡大)&再編、およびスタジアム建設をはじめ、最近では2004年のNFLネットワークの設立、そして今年に入ってのテレビ放映権交渉やNFL選手協会との団体労使協定交渉においてもリーグ側の主導的な役割を担い、成功へと導いてきました。

 また、その他にも現在はCOOとしてリーグのメディア所有権、マーケティング&セールス、コンシューマー・プロダクト、国際戦略、スタジアム建設、イベント運営、経営企画など、リーグに関わるすべてのビジネス部門の劇的な転換と成長を指揮する一方、オフェンスの攻撃力を上げるための1994年のルール変更、インスタントリプレイの運営統括、さらに審判部門の構造改革や、2001年にはNFL審判協会との契約交渉に尽力するなど、グッデルはゲーム運営面でも多大な功績を残してきました。また、国際戦略でもNFLプレシーズンゲームの国際試合『アメリカンボウル』シリーズの運営と発展、そして1994年のNFLインターナショナル部門の設立やNFLヨーロッパリーグのビジネスモデルの開発と改善にも尽力してきました。

 「NFLは、ピート・ロゼールポール・タグリアブーというプロスポーツ史上に残る最も偉大なコミッショナー2人を輩出してきました。私は、彼らの背中を見ながら実際に働けたことを本当に幸運に思います。この2人が私を信頼してくれたからこそ今日があるのだと思います。そして、私もNFLコミッショナーという大いなる挑戦を楽しみにしています。」と、1989年から17年間在任したタグリアブーの後を受け、NFL 87年間の歴史上8代目のNFL最高責任者となるグッデルは、新コミッショナー就任への意気込みをコメントしました。

■歴代NFL最高責任者

役職名 名前 在任時期
初代 プレジデント ジム・ソープ 1920年1921年
第2代 プレジデント ジョセフ・カー 1921年−1939年
第3代 プレジデント カール・ストーク 1939年−1941年
第4代 コミッショナー エルマー・レイデン 1941年−1946年
第5代 コミッショナー バート・ベル 1946年−1959年
  バート・ベルの死による
暫定プレジデント
オースティン・ガンセル 1959年−1960年
第6代 コミッショナー ピート・ロゼール 1960年−1989年
第7代 コミッショナー ポール・タグリアブー 1989年−2006年
第8代 コミッショナー ロジャー・グッデル 2006年−

ロジャー・グッデル −Roger Goodell− 略歴

1959年2月19日、ニューヨーク州ジェームスタウンにおいて、父チャールズ、母ジーンの間に5人息子の三男として誕生。 父チャールズ(故人)は、1959年から1968年まで西部ニューヨーク地域選出の議会議員を務め、1968年には、当時ニューヨーク州の知事だったネルソン・ロックフェラーから、ロバート・ケネディの暗殺後、ケネディの残した2年の任期で米国上院議員の任命を受けた。

グッデルは、ニューヨーク州ブロンクスビル高校時代、フットボール部、バスケットボール部、そして野球部の3つのクラブでキャプテンを務め、同校の年間最優秀アスリートにも選ばれるなど選手として活躍した。しかし不運なことに、フットボール奨学生(ポジション:DB)として入学したペンシルベニア州ワシントンのワシントン&ジェファーソン・カレッジでは、入学して間もなくヒザを負傷し、フットボールを断念することを余儀なくされる。その後は学問に専念し、卒業時には優等生として同校のウォルター・ハドソン・ベイカー賞(経済学)を受賞するまでに至る。

そして大学卒業後、高校生時にすでにNFLで働くことを目標としていたグッデルは、NFLでの仕事を求めて40通にのぼる手紙を当時のコミッショナーピート・ロゼールをはじめ各NFLチームに対して送りつける。その結果、1982年秋、ロゼールの指示を受けたNFLスタッフの面接を経て、NFLニューヨーク本部PR部門のインターンとしてNFLでのキャリアをスタートさせる。翌1983年には、ニューヨーク・ジェッツPR部門でインターンとして働いたグッデルは、シーズン後、ニューヨーク・ジェッツコーチングスタッフとしてのポジションをオファーされるが、1984年にNFLニューヨーク本部PR部門のアシスタントとして戻ってくることを決断。その後、1987年にはロゼールの任命により、AFCプレジデントを務めるラマー・ハントのアシスタントに抜擢されるなどメキメキと頭角を現し、ついに2001年12月には、ロゼールからコミッショナーの職責を引き継いだポール・タグリアブーの信任を受け、上級副社長兼COOに就任。そして2006年8月、タグリアブー勇退に伴い、NFLオーナー会議での投票を経て、NFL 87年間の歴史上8代目のNFL最高責任者となる新NFLコミッショナーに選出された。

グッデルは、リーグのチャリティー団体「NFLチャリティー」の役員も務めるなど慈善活動も積的に行っている。現在はニューヨーク市近郊で、妻ジェーンと双子の娘2人とともに暮らしている。